電撃傷

電撃傷 electrical injuries
電流が体内を流れて起こる障害の総称である。電荷が心臓に影響して心静止または他の不整脈を起こしたり,脳に影響して意識消失,急性錯乱,または記憶喪失を起こす可能性がある。

朝トラクター上で意識をなくし倒れているところを家人に発見される。当日激しい雨と雷が鳴り響いていた。農作業をするためにトラクターに乗車していた模様
来院時明らかな外傷はなく落雷による流入創も見当たらず、JCS300での搬入であったが意味不明の発語に右上肢の麻痺瞳孔の共同偏視等脳神経的な疾患も疑われたが画像検査においても明らかな所見なく意識障害として入院となる。
雷電傷が最も疑われ、作業時に来ていた作業着を確認して後頸部に焦げた跡を発見した事により電撃傷である事を同定

アルコール飲酒をしていた事、過去に頭部外傷の歴がある事などから薬物もしくは外傷による脳障害などが疑われたがどれも当てはまらず診断に難渋していた。

病態生理:生体内に電流が流れることで筋肉を含む深部組織が電気抵抗となり、ジュール熱が発生し、深部臓器に障害をもたらす。

臨床症状:電流班や電紋が特徴的で、四肢の知覚障害、弛緩性麻痺、可動域制限、変形、進行性壊死等もみられる
全身症状として頭部が通電されると一過性の意識障害、全身性痙攣、重症例ではショックやミオグロビン尿、乏尿など。

検査所見:ミオグロビン尿、血中CPK・GOT・LDHの上昇、白血球数増多がみられる。心電図異常がみられる事があるので注意が必要である。

診断と治療:雷撃傷は目撃されることがしばしばであるが,嵐の間やその後に屋外で発見された人に記憶喪失や意識消失がみられるときにも疑うべきである。
呼吸・循環の安定を最優先し指示療法を行う。



参考サイト
http://merckmanual.jp/mmpej/sec21/ch316/ch316c.html
http://blogs.yahoo.co.jp/comoson2000/49196576.html